外壁と屋根の塗装
一緒にやったほうが、費用はお得?
家の外壁は、定期的なメンテナンスを行わないと気がつかないうちに劣化していきます。ひび割れが入ったり、コケが生えてきたり、少しずつ外壁が傷んできていることに気づかずに放っておくと、剥げた塗装やひび割れの中に雨水などが浸入して、家の内部まで傷み始めます。見た目ではそれほどわからなくても、外壁のメンテナンスをしてから10年以上が経つとだんだん保護塗料が剥げてくるため、外壁に触ったときに手に白い粉がつくようになります。そうなってきたら外壁の劣化が進まないように、また内部にまで雨水がしみこまないように外壁の工事を行う必要が出てきます。
外壁にはさまざまな種類があります。現在外壁の主流となっているサイディングや従来からあるモルタル外壁、ALC、タイルなどが主に使用されている外壁です。サイディングは、パネルを工場で作成するので品質や施工後の仕上がりが安定している外壁です。デザインが豊富でおしゃれな外壁も多く、安価で施工できる点からも人気があります。耐久年数は40年ほどとされています。従来からあるモルタルは、家の柱の外側に下地を貼って土台作りをしてからモルタル壁を塗り、塗装で仕上げた外壁です。サイディングに比べると工事代が高く、耐久性や仕上がりに施工する職人の腕によってばらつきが出る場合もあります。塗り方によってさまざまな模様をつけたり、部分的にタイルを貼るなどデザイン性のある外壁にすることが可能です。
ALCとは「軽量気泡コンクリート」のことで、ビルなどで使用されていることが多く内部に気泡が入った、重さを抑えたコンクリートです。ALC外壁は軽いため耐震性に優れ、耐火性があり高温にも強いというメリットがあります。ただ吸水性が高く強度があまり高くないというデメリットもあります。メンテナンスをしていれば60年は耐久可能な外壁です。タイル外壁は、1枚ずつタイルを貼り付けている外壁です。高級感がある仕上がりに、メンテナンス費用がかからないことで魅力の高い外壁ですが、施工時の金額が他の外壁よりもかなり高額になっています。外壁タイルはとても丈夫でキズに強く、他の外壁のように塗装が必要ないため定期的な塗装塗り替え工事が不要です。メンテナンスは目地の劣化部分と、万が一タイルが割れた時の割れた部分だけの交換ですむためそれほど高額にはなりません。だいたい他の外壁の半額程度と考えるといいでしょう。耐久可能年数は40年位です。
外壁にはいろいろな種類がありますが、外壁工事にはそれぞれどの位の費用がかかるのでしょうか。メンテナンスのための塗装工事は外壁工事の中でも費用が最も安くすむ工事です。塗装工事の流れは、まず全体に足場を組み、外壁の洗浄を行います。その後下地調整と下地補修でヒビなどを直し、塗装の不要な場所に養生をして塗装を行ってから最後に清掃をして終了します。これら一式の工程が外壁塗装工事です。平均的な建坪30坪2階建ての住宅の外壁工事は施工面積が約120㎡になるので、120㎡あたりの塗装工事にかかる費用は60万円から150万円位が一般的です。塗装が長持ちする高機能塗料などもあり塗料によって塗装工事の費用が異なります。
モルタル壁をサイディングに変える工事や、古くなったサイディング壁から新しいサイディングに変更する外壁工事も増えています。外壁の劣化が進み塗装や補修だけでは間に合わなくなってきた場合には、外壁の張り替えも有効な工事になります。サイディング壁に張り替えをする外壁工事にかかる費用をみてみると、もっとも一般的で安価な窯業系サイディングの場合には、1㎡あたりの単価はおよそ5000円で、それに工賃の3000円/㎡がプラスされます。そこで120㎡の張り替え面積を掛けると、サイディングの施工には約960000円が必要とわかります。その他に足場代や諸経費などの費用がかかるので、一般的なサイディング重ね張り工事にはトータルで150~200万円位かかると考えておくといいでしょう。古いモルタル壁やサイディング壁の上に重ね張りをするのではなく、古い壁を撤去してからサイディングを取り付ける場合には、古い壁の撤去料や付随する諸経費が追加されるのでさらに費用が上がります。サイディングの種類によって金額が変わりますが200~300万円位が目安になります。
メンテナンス費用が少なく抑えられるタイル壁は、施工方法にはモルタルなどの上からタイルを張り付ける湿式工法と、溝をつけたサイディングなどにタイルを引っ掛けて固定させる乾式工法の2種類の工法で取り付けられます。これら二つのうち施工時間が短く済む乾式工法が現在では主流になってきています。必要な材料は下地のパネルが約5,000円/㎡、タイルは種類に応じて単価がさまざまですが、8,000円~30,000円/㎡のものが多く、一般的な施工費としては諸経費などを含めて工事にだいたい300万円以上の費用がかかります。メンテナンス費用が塗装や下地調整などの金額よりも半額程度に抑えられるというメリットがあるのですが、施工時の費用がかなり高くなるため普及率はあまり高くありませんが、経年で劣化するのではなく風合いが増し、おしゃれな外観を保てるというメリットもあるので、メンテナンスに費用をかけたくない方やこだわりのある方におすすめの外壁です。
外壁工事は家の周り全体の工事になり、材料費や工賃だけでも大変な費用がかかります。外壁工事の見積書に書かれている項目について、内容から適正価格まで覚えておくと自分の家の外壁工事に必要な工事かどうか、金額が高すぎないかなどをある程度判断することができます。見積書にはどんなことが書かれているのかをみてみましょう。外壁工事は、基本的にタイル壁以外に必要な外壁の「塗装塗り替え」と、劣化が進んでいる外壁などの古い外壁の上に新しい外壁を張る「重ね張り」、古い外壁を撤去して新しい外壁を張り付ける「張り替え」の3種類が主な工事になります。
定期的なメンテナンスなどで、外壁工事の中でも工事をする必要が多いのが塗装工事です。塗装工事の見積りに書かれている項目には「足場代、養生代、洗浄代、下地処理代、下塗り費用、塗装費用(2回塗り)、諸経費・清掃」などがあります。足場代は他の外壁工事でも必要になる費用ですが、通常は1㎡あたり900円という単価で30坪の平均的な住宅の工事の場合には150000円位かかる場合が多くなります。養生代、洗浄代は業者によってさまざまですが単価は500円/㎡以下で200~300円にしている業者も多いようです。
重ね張り工事の場合、見積りには「足場代、サイディング施工費用、諸経費・清掃」の項目があります。サイディングではなくALCを施工する場合にも同じです。ALCでもサイディングとあまり変わらない価格で施工が可能ですが、ALCは現在はビルで使用されることが多く、住宅ではサイディングへの重ね張り工事が主流になっています。サイディング施工費用は、サイディング代+工賃になり、サイディングのグレードによりますが窯業系サイディングでの一般的な施工費用は900000円程になります。
既存の壁を撤去して行うサイディング張り替え工事では上記の足場代、サイディング施工費用などに加えて「既存の外壁材撤去」代と「シーリング」代がかかります。撤去にかかる費用は単価が~1000円/㎡ほどになるので、一般的な30坪の住宅の外壁材撤去費用は120000円以下で収まることが多くなっています。ボードの間にできる隙間を埋めるためのシーリング代は、30坪の住宅で150から200mが施工目安になります。シーリングにはおよそ700~1200円/mの費用がかかるため、100000~200000円の費用がかかるのが一般的です。
工事費用には単価がある項目が多く、その単価と正しい面積から費用が計算されます。チェックする時には、まず項目ごとの単価を相場と比べてみたり、面積が正しく計算されているかどうかを確かめましょう。金額が高い場合には使用されている材料のグレードが高すぎないか、安い場合にもグレードが低すぎないかをチェックして、希望する仕上がりになる内容かどうかをしっかり確認しましょう。